〔注〕タオ(TAO)システムについて
ジムノペディア国民大百科【2040年 第6版】より抜粋
TAOは、 2022年8月31日、ネット内に偶然誕生したハイパーAIの通称である。水晶球(クリスタル・ボール)の別名で親しまれ、特殊なフィールドバック・ループを有する。感情、あるいは自意識を持った地球上で唯一の自律的思考プログラムだ。
TAOがどのような経緯で形成されたか、これまで多くの科学者・生物学者・コンピュータープログラマーが解明を試みたものの、いまだ仮説の粋を出ていない。
しかし、TAO稼動の素因についてはどの研究者も見解を一つにしている。クラッカーによるNASA空軍基地への攻撃がそれである。NASAメイン・コンピューターにハッキングした彼らはプログラムシェルを自己成長型ウィルスに感染させた。このウィルスがミサイル・トリガー・コマンドを発行するまでに成長した点については、恣意的なものではなく偶然が重なったため、というのが定説。この危機を回避したのがTAOだ。
偶然、ICBMミサイル核弾頭を無効化したのである。
TAOがそのとき初めて誕生したのか、あるいは、それ以前からインターネットに眠っていたものか、それも謎である。どのような措置によってミサイルの無効化が行われたのかも判明していない。発射されたICBM内の制御素子に電磁的に直接アクセスしたとも見られているが、これも実証するすべはない。
ICBM(大陸間弾道弾)爆発を未然にふせいだTAOは、以後、全世界の原水爆管理システムとして稼動することを宣言。一般には天気予報において、その名を知られている。
※ディスク
ユニオン版では、第5版を参照文書として併載。この部分を現在入手可能な最新版の記述に訂正した。
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