ノー・モア・ヒーローズ
ストラングラーズに『ノー・モア・ヒーローズ』という曲がある。安っぽい英雄主義を否定したものであることは、タイトルから容易に想像できる。
79年の夏、ストラングラーズに招かれ、渡英したおりに、ジャン・ジャックが『葉隠〈ハガクレ〉』をテーマにした新曲をエアー・スタジオで聴かせてくれた。その時、僕は、ちょっとした〈とまどい〉をおぼえずにいられなかった。
武士道こそ日本的英雄主義の根源のはずだった。ながいこと、僕はそのように教育されてきた。‘非’英雄というスローガンと葉隠〈ハガクレ〉はあいいれぬもののように思われた。結局、これもまた西洋人の日本趣味だ、ぐらいに考えて納得してしまった。
その後、一頃、奇術師まがいの言説で世間を煙にまいていた女流アヴァンギャルド歌手が、リザードは吉田松陰みたいだから‘キライダ’、と発言したのを某音楽雑誌で読み、またも面食〈メンクラ〉った。彼女に嫌われるのは、かまやしないが、吉田松陰には驚いた。
僕には、松陰について歴史の教科書ぐらいの知識しかなく、実際、某大学のそばに住んでいる神様ぐらいのイメージがあるだけだった。
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