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ふるくからある『ハムレット』の‘読み方’に教養小説〈ビルドゥングロマン〉の古典として接する方法がある。ビルドゥング・ロマンとは、精神高揚〈せいしんこうよう〉(スピチュアル・エレヴェーション)をドラマの中心においたもので、多くは魂の危機〈クライシス〉というシチュエーションが設けられ、主人公は彼の内部(あるいは、それに照応した外界)をさまよわねばならない。ビルドゥングとは英語のビルディングと同根の独語で、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』やトーマス・マンの『魔の山』に代表される様式だ。その『ウェルテル』に先行する作品として、あるいは、あらゆる教養小説の原点として『ハムレット』を味わうのである。
そのエッセンスが冒頭のセリフであろう。
AorB Aか? Bか?
この命題が、あらゆる危機の素因といっていい。ラヴ・ロマンスの原形たる三角関係も登場人物にとってはAorBの問題だろう。いつの時代も、二元論の超克は精神成長の重要な課題であったことがわかる。‘成長’というより‘誕生’という言葉の方が適切かも知れない。何故なら、この門をくぐらねば、カレは生まれないからだ。キューブリックの『2001年』のスター・チャイルドのように、僕達は時間の門をくぐらればならない。ダンテ『神曲』三部作中の有名な地獄門は現実的存在なのだ。
〔注意 上野公園の西洋美術館敷地内にある同名の門はイミテーシションである。それに向って突進してはいけない。決して『向う側』へは抜けれないし、だいいち公共物を破損してしまう。
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