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●用語解説
一般的に自然科学における用語解説では、混乱を招かないため、基本的に定義された用語によって、新しい概念を説明する。たとえば、幾何学の証明というものを想起していただけばわかりやすいだろう。定義を敷衍することで条理を証明していくわけだ。
私自身は、電気・電子回路技術を生業とした関係で、そうした電子技術解説に馴染んでいる。ここでは出来うる限りに平易な解説を心がけたが、その一方で、上記の意味での正確な記述も心がけている。
初心者には、一読して理解できるものではないかもしれないが、その場合、知識を心のどこかにとどめておいてほしい。後で役に立つだろう。
私自身、こうした知識によって、音楽家から電子技術者へと自分の世界を拡張してきた。これは事実なのだ。
また、基本原理を知ることで、音声モジュールに与えるパラメーターも適切なものになるだろう。
私の経験で言えば、音楽を好きな人、音楽を演奏する人は、現実世界においても勘がいい場合が多い。
ただ、惜しいことに、最近のコンピューター関係の音楽愛好家の多くは蒙昧なデマゴークを信じている。
CD-Rやソフトウェアプレーヤー関連の企業でも、実に多くそのようなタイプを見かける。関連掲示板でも、それぞれの感性を振り回して論を終える無意味な論争が多い。
デマゴークも長い間に構築されてきているから、なかなかただでさえ頭の固い彼らを解放してくれないようである。そして、そうしたデマゴークが活字化されている場合も多く、解説本でも基本的に間違っている場合が多いのだ。
音楽のプロフェッショナルが、もっと積極的に関連ジャンルに関わってくれれば簡単に改善できるのだが、例の著作権がらみの問題などで、音楽や映像のプロ達はコンピューターやストリーミングをタブー視しているし、現在コンピューター業界で主導権を握っている層も、プロの参加を煙たがっているふしもある。
……なんていう私の感想はともかく、音楽をまともに考えようとしている人のために、私自身が実際に現場で携わってきたような回路をふくめて、用語解説をまとめておくことにした。
ご利用いただきたい。
なお、この解説は必要に応じて、書き加えていくので、今後もチェックをお願いしたい。
2001年、夏
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VCO ボルテージ コントロールド オシレーター/電圧制御発振器
直流電圧を与えることで発振周波数を変える信号源である。
アナログシンセでは装置の初段におかれ、キーボードからの直流電圧で周波数をコントロールする。
サイン波・三角波・のこぎり波・矩形波など、任意の信号に音程変化を与えることが可能だ。
ムーグ社の仕様では1ボルトにつき1オクターブ。
キーボードでは、制御電圧のほかに、トリガー信号も発生させるが、これは、VCF、VCA(電圧制御フィルターや、電圧制御アンプ)に入力される。VCOはトリガー信号の有無に関わりなく音を発振しつづける。
ちなみに高周波回路にも水晶振動子の代用に使われることがある。
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LFO ローフリケンシー
オシレーター/低周波発振器
VCOに似ているがこちらは低周波信号を発声させる装置。ゆったりした周期で直流電圧制御信号を変化(変調)させるために使う。
VCOの制御電圧に加算するすれば、音程を周期的に変化させることができる。これがビブラート効果である。
VCFに加えるとワウ効果になり、VCAに与えるとトレモロ効果が実現できる。
サウンドエフェクトでは、フランジャー、コーラス、フェーズシフターなどのコントロールにも使われるデバイスだ。一定の周期で変化するエフェクトでは、LFOの電圧変化幅(WIDTH)加算する度合い(Depth)を調整し、任意の効果を得る仕様のものが多い。
フランジャーやコーラスでは、ショートディレーの遅延時間をどんな周期で、どれだけの幅で変化させるかが主たるパラメーターとなる。
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VCF ヴォルテージコントロールドフィルター/電圧制御フィルター
その名のとおりに直流電圧で制御するフィルターである。
第一世代のシンセサイザーモジュールにおいては、制御電圧はローパスフィルターのカットオフ周波数のコントロールに使われていた。
バンドパス(パラメトリックイコライザーの場合は中心周波数=センターフリケンシー)制御や、ハイパスのそれを制御するようになったのは、その後の話である。
回路には、カットオフ(センター)周波数コントロールボリュウムと、レゾナンスとして共振成分の量を制御するボリュウムが備えてある。
レゾナンスを多めにして、エンベロープジェネレーターからのDC電圧で制御することで、ビョーンという感じの代表的アナログシンセ音ができる。また、ペダルで制御電圧をコントロールしてやると、クライベイビーなどの古典的WowWowペダルをシュミレーションできる。
タッチワウにも使われている。
原理的には、入力信号のエンベロープ(音量変化)を検知し、そのエンベロープに従った直流電圧を作り出し、これでカットオフ周波数をコントロールするのである。
※エンベロープに従って直流電圧を発するモジュールをエンベロープフォロワーとよぶ。
これでオートワウが実現できる。
また、入力信号にディストーションをかけ矩形波に近づけるように加工した後に、この回路でレゾナンスを多く付加してやれば、ビヨーン、ビワワーンという、癖のあるアナログシンセ音がシュミレートできる。
70年代後半の、ミュートーンやエレクトロハーモニクス社のベースシンセサイザー、ギターシンセサイザーというエフェクトは、この原理を応用したものだ。
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エンベロープジェネレーター
アナログシンセのキーボードモジュールでは、奏者がキーボードを押す間、トリガー信号とコントロールボルテージを出力する。
トリガー信号は単に押しているかどうかの識別のみ行う。
これがエンベロープジェネレーターに送られ、そこで音量コントロールカーブをもつ、エンベロープ制御信号が発生する。
一般的に、VCOから出力された音声信号はVCF、VCAを通して出力される。
エンベロープ信号は、
A アタック、D ディケイ、S サスティン、R
リリース
という四つの要素からなる。
アタックは、押した時点から音声信号がピーク値に達する時間。
ディケイは、ピークから、サスティンで指定した持続音量まで減衰する時間。
サスティンは、先にのべた持続音量そのもの。
リリースは、トリガー信号がオフになってから、音量が消えていくまでの時間。
トリガー信号からこれらの要素を持つ直流信号を作り上げる。それでVCAを制御するわけだ。
これでVCFを制御する場合もある。楽器音からエンベロープ信号を発生させるモジュールもあり、一般にエンベロープフォロワーという呼称で知られる。
※VCF、タッチワウについての項を参照のこと。
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VCA ヴォルテージコントロールドアンプリファイアー電圧制御アンプ
アナログシンセの最終段に使われるモジュール。
通常、制御信号はエンベロープジェネレーターから入力する。エンベロープ信号は、音の大小、ボリューム変化を直流であらわしたものを使う。
このモジュールを数ヘルツのLFO、矩形波や三角波で変調(モデュレート)してやると、ツインリバーブやフェンダーエレピのビブラートがシュミレートできる。
サウンド編集ソフトのエフェクトメニューでは、
Amplitude Modulation
と呼ばれている。
※左右に与える制御信号を逆相にしてやるとオートパンニング効果になる。
モジュールのワンチップ化が進んだ現在、随所に応用回路が使われている。各種電子機器の音量制御やコンプレッサー、リミッター、ノイズゲートなどである。
そのうち、コンプレッサー回路について説明しておこう。
入力信号をエンベロープフォロワー回路に入力して、制御用直流信号を作り、それを反転(位相を逆転)させてやる。
これで入力信号の音量とは、正反対の関係にある制御用直流信号ができる。これで基準電圧に加減算してVCAを制御、つまり音量を変えてやるのである。
乱暴な説明であることを承知で言えば、音量ボリュームを中くらいにしておき、音が小さいときには上げ、大きいときに下げてやるようなものである。
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パラメトリックイコライザー
パラメトリックEQはレコーディングスタジオなどプロの現場では、お馴染みのものだ。
一つのバンド(帯域)には、中心周波数/Center Frequencies,ゲインレベル/Gain Levels,バンド幅/Bandwidthsの三つのパラメーターがある。この一組でパラメトリックEQを構成するのだ。それらが六つ並列になっていると考えると理解しやすい。
パラメトリックEQの構成要素
※中心周波数/Center Frequencies
訳語そのままである。EQがあつかうバンド(帯域)の中心周波数を決定する。
※ゲインレベル/Gain Levels
そのEQで、決定した帯域を上げてやるのか、下げてやるのかを決定する。0を中心にプラス方向がブースト。マイナス方向がカットである。
※バンド幅/Bandwidths
中心周波数から帯域の幅を決定するパラメーターだ。単位はオクターブだが、これはあまり気にすることはない。パラグラフィックEQでは、視認しつつ設定することが可能だからだ。それを利用しない手はない。
パラグラフィックEQの特徴は視認性にある。何度か使っているうちに直感的に操作できるようになる。
中心周波数 東日本 50Hz / 西日本 60Hz
ゲインレベル -15dB
バンド幅 0.1〜0.3oct
これは何かというと、交流電源から漏れるハムノイズカット対策である。
ギターアンプでディストーションを使ったときなど、ハイインピーダンスインプットのある機器では、どうしても逃げられないのが、この電源からくるノイズだ。このノイズはサインカーブである。ゆえにバンド幅を最大限に細くしても、カットできる。このセッティングはプリセットしておくと、何かと便利だろう。ちなみに西日本と東日本では違うことに注意して欲しい。
(WaveEditor解説より転載 管原保雄)
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S/PDIF
ソニー・フィリップス・デジタル・インターフェースの略。デジタル入出力端子をS/PDIFと呼ぶことがある。MDやCDプレーヤーなど、通常のデジタル機器では光デジタル入出力を採用している。
一方、楽器やオーディオ専用機器では、RCA端子を装備しており、この場合は75Ω同軸ケーブルを使う。ビデオ専用ケーブルと同規格。
高周波数データ伝送では、ケーブルのインピーダンスや終端抵抗の有無に気をつけたい。外来ノイズや反射が原因で無用のトラブルを起こすことがあるからだ。
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ABR
Available
Bit Rat,VBRはユーザーが設定した品質を保証しているが、品質保証のない可変ビットレートがABRだ。実際に、通信の現場で、与えられた条件の中で最良の結果を得るための規格と考えればいい。
MPEGやOgg Vorbisのエンコーダーなどでは、エンコードの標準となる中心ビットレート及び最低最大ビットレートをユーザーが指定する。幹線の状態や、ユーザーが与えた条件内で、最良の結果を得ようとする。ストリーミングの現場では重要な概念といえる。
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VBR
Variable bitrate、可変ビットレート。mp3やMPEGなどの音声圧縮方式の用語である。音質や画質を指定してエンコードする方式。指定された質を維持するために、変化が激しい部分など高ビットレートが必要なところでは高いレートで、変化の少ないところでは低いビットレートでエンコードする。ただし、VBRにおいてもビットレート128kbpsなどという数値を明示する場合がある。この場合は音質イメージをあらわしている。
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CBR
Constant bitrate、固定ビットレート。画質、音質の如何に関わらず、常時指定したビットレートでエンコードしてやる。固定ビットレートで128kbps、ジョイントステレオという方式がmp3.comを初め主要な音楽ダウンロードサイトで採用されている様式。もちろん、44.1kHz、16ビットの音声ファイルとして再生される。
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SBR
2001年夏に、トムソンマルチメディア、RCA、フラウンホーファーなどの共同名義で発表されたmp3Proが採用した音声圧縮の方式。スペクトラル バンド リプリケーションの略語。m3Proでは、従来の、音声標本化周波数22.05kHzの周波数帯域のサウンドをそのまま採用し、その上の高音帯域用に第二のストリームを用意し、両者を重ねる形式で音質を補っている。従来のプレーヤーでは22.05kHzとして再生されるファイルをPro専用のプレーヤーで再生すると44.1kHz(CD相当の標本化周波数)の音質が得られる。これを実現したのがSBRという方式だ。よく誤解されるのだが、VBRやCBRというビットレートをあらわす用語とは何ら関係がない。このようにストリームを二つ重ねる方式であるためmp3Proは固定長を採用している。
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標本化周波数
サンプリング周波数。「サンプリング」を「標本化」と訳す点、極めて明晰な定義づけだと思う。一秒間に、何回、音声信号の電圧を計測するか、という意味と考えていい。計測ごとにアナログ数はデジタル数値に変換され、記録されるのが、CDやDATなどのデジタルオーディオである。一般に、標本化周波数のおよそ半分の帯域までが音声信号として復調可能、とされる。
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